企業内失業と矛盾



「働く能力があり、働く意思があるのに仕事がなかなか見つからずに働けない」という状態を示す言葉の「完全失業」に対し、企業に就職していながら、企業として与える仕事が無いという状態を示す「企業内失業」という言葉が現代では存在していることがわかります。 別の言い方をすれば、その企業は生産活動・業務に必要な労働力以上の人員を抱えていると言えることになってきます。 雇用の安定という点で一応果たしている役割は小さくないのですが、本質的には「無駄なコスト」ですので、企業自体が業績を悪化させて大規模なリストラを敢行したり、倒産したりして失業者を急増させるリスクを高めていると言えます。 また、こうした企業内失業者に対して、形の上での仕事を割り当てるための仕事という自己矛盾的なコストがかかっている場合もあり、社会全体の生産効率を引き下げているというような問題も生じています。


給料の在り方



完全に月給型の企業だけでなく、歩合給や日給が支払われるタイプの企業における企業内失業者は、実際の収入も著しく低下するため、実質の失業者に近い状態になっていることも実は少なくありません。 こうした場合も雇用関係そのものは健在であるため、失業保険の対象にならない、統計上の数字に現れてこないなどの問題を内包しています。 加えて、収入が低い水準で不安定であるということは、自然と消費の減少をもたらしますので、社会全体のデフレを加速させる面もあります。 こうした企業内失業者も、必ずしも全体で見たときに労働力価値が低いわけではなく、往々にしてその所属企業における労働力需要と一時的にかみ合っていない事が原因になっていることが多いようです。 別の企業であれば、有益な労働力として活躍しうる人材も多いだけに、こうした人々の転職などを如何にスムーズに行うかが現代日本社会の課題であるとも言えるでしょう。